定年後の3年目雇用契約更新での闘い ◆メタボな老兵◆

私は2年前の2014年3月に60歳定年を迎え、それ以後嘱託社員となり製造現場で自動車用金属加工部品の検査及び梱包作業に従事してきました。この間の2年間の賃金は定年前の団体交渉で勝ち取った世間の平均的な定年再雇用賃金よりも多少多めの金額で就労し、毎日肉体労働とはいえ気楽に何のストレスも感じる事無く、粛々と仕事をこなしてきました。そして、3年目の嘱託社員契約更新を控えた約4ヶ月前の昨年12月初めに例年通り同一賃金での契約更新要請を管理職ユニオン・関西を通じて会社側に申し入れしたところ、今回の会社側回答は、月2万円のダウン、年間にして24万円減給提示という不利益変更でありました。どうやら嘱託社員の就業規則に規定された賃金規定のダウン率(勝手に作成して労働基準監督署に届けたものと思われる)を理由に減給してきたものと思われました。会社側としては、これで十分勝算ありと踏んで回答してきたものと予想はつきましたが、黙って引き下がる訳にはいきません。早速団交申入書をFAXし、仲村書記長とO執行委員を交え作戦会議を実施。そして年初の1月7日、組合では今年最初の団体交渉が私の会社(八尾市上尾町)で行われる運びとなりました。

今回の会社側は従来の団交対応とは違い、弁護士も雇わず、自分の会社へ呼び付ける(今までは全て弁護士会館で団交)という横柄な対応で、益々私の戦闘意欲が燃え上がったのであります。団交当日は近鉄河内山本駅まで仲村書記長とO執行委員に来て頂いて出迎えし、バスに乗り換え会社に案内。会社の応接室にて社長と総務部長が出席して団交開始。会社側から今回の減給理由の説明があり、案の定、就業規則を持ち出して賃金が下がるのが当り前のような口ぶり。そこで、私からこの2年間の仕事内容が全く変わってない事と減給されるような働き方をしていない事を社長に強く反論したところ、私の仕事ぶりは評価しているので改めて契約条件を要求書として提出するよう態度を軟化。これを受けて同一価値労働・同一賃金は労働契約法20条で規定されている事やこの法理に違反する不当労働行為をあくまで行うなら団体行動権を行使してビラまき、街宣行動の強硬手段に出ることを組合からの要求書として提出した結果、会社から3年目も従来と同様の同一賃金で更新するとの回答があり、あっ気なく決着。団交から2週間余りでのスピード解決でありました。

今回の闘いでは、会社からの不利益変更に対しては、何があっても闘う姿勢を取り続ける事が肝要であるということと同じ仕事をしている限り賃金は下げられないという事を改めて実感し、この勝利は、これから同じような問題に直面する方々への良い参考事例になれば幸いと思っています。   (機関誌「FACE」20号より)